この記事でわかること
  • 控除上限を決めるのは副業の売上ではなく所得(利益)。住民税の「特例分」は住民税所得割額の2割が天井なので、利益が増えれば上限も上がる
  • 会社員の副業が雑所得なら、赤字でも給与と相殺できない。上限が下がらない代わりに、赤字で上限が増えることもない
  • 副業で確定申告をするとワンストップ特例は無効。申請済みの分も含めて、寄附はすべて申告書に書き直す
  • 副業所得20万円以下で確定申告が不要でも、住民税の申告は別に必要。2025年10月からはポイント付与を伴うサイトでの募集が禁止されている

この記事の要点:よくある質問

Q: 副業をしていると、ふるさと納税の上限は変わりますか?
A: 副業の所得(利益)が増えれば上限も上がる方向に動きます。総務省の説明では、住民税の特例分は住民税所得割額の2割が上限で、所得割額は副業の所得も含めて計算されるためです。
Q: 副業で確定申告をするとき、ワンストップ特例は使えますか?
A: 使えません。確定申告をするとワンストップ特例は適用されず、その年の寄附をすべて確定申告書の寄附金控除に記載する必要があります。
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はじめにお読みください(一般的な情報提供です)

この記事は、会社員として働きながらアフィリエイトなどの副業をしている方に向けて、ふるさと納税と副業収入の関係を総務省・国税庁の公表情報から整理した情報提供・教育目的のコンテンツです。税務相談ではありません。あなたの控除上限額、所得区分、申告が必要かどうかといった個別の判断は、所轄の税務署・お住まいの市区町村・税理士に確認してください。

上限を決めるのは「売上」ではなく「所得」

ふるさと納税のシミュレーターに年収を入れて、出てきた金額をそのまま信じている。副業を始めた人がまずつまずくのはここです。会社員向けのシミュレーターの多くは、給与の源泉徴収票の数字を前提に作られています。副業で稼いだ分は、自分で足さない限り計算に入りません。

総務省の「税金の控除について」のページでは、ふるさと納税の控除は所得税の控除、住民税の基本分、住民税の特例分の3つで構成され、自己負担2,000円を除いた全額が控除されるのは住民税の特例分が住民税所得割額の2割を超えない範囲だと説明されています。上限の天井を決めているのは、この「所得割額の2割」です。

上限のしくみ(総務省の説明の要点)

控除は ①所得税(所得控除)②住民税・基本分 ③住民税・特例分 の3つ。
③特例分が住民税所得割額の2割を超えない範囲なら、2,000円を超える部分が全額控除される。

住民税の所得割額は、給与だけでなく副業も含めた所得をもとに計算されます。だから副業で利益が出れば所得割額が増え、上限も上がる。ここまではシンプルです。

注意したいのは、効いてくるのが売上ではなく所得だという点です。アフィリエイトの報酬が年60万円あっても、経費を差し引いた所得がいくらになるかで所得割額は変わります。家事按分で経費を計上している人は特に、売上ベースで上限を見積もると高く出すぎます(按分の考え方は家事按分の記事で整理しています)。

副業ならではの落とし穴:雑所得の赤字は給与と相殺できない

副業が赤字の年は上限が下がるのか。答えは、所得区分によって変わります。

国税庁のタックスアンサー No.2250「損益通算」によると、他の所得と損益通算できるのは不動産所得、事業所得、山林所得、譲渡所得の損失です。No.1500「雑所得」では、雑所得の計算上生じた損失は他の所得と損益通算できないとされています。

副業の所得区分赤字の扱いふるさと納税の上限への影響
雑所得給与所得などと損益通算できない赤字でも給与側の所得は減らないので、上限は下がらない(ただし増えもしない)
事業所得損益通算の対象赤字が給与所得から差し引かれ、所得割額が減るぶん上限が下がる可能性がある

会社員の副業は雑所得として申告されることが多く、その場合は「副業の赤字で上限が減った」ということは起きません。逆に事業所得として申告する人は、赤字の年に上限を去年と同じ感覚で使うと、寄附が上限を超えて自己負担が増えることがあります。

自分の副業が事業所得か雑所得かは、業務の実態で判断されるもので、この記事で決められるものではありません。区分に迷う場合は税務署または税理士に確認してください。副業の税金の全体像はアフィリエイトの税金の基本にまとめています。

ワンストップ特例は、確定申告をした瞬間に消える

ワンストップ特例は、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる仕組みです。総務省の説明では、使えるのはもともと確定申告をする必要のない給与所得者等で、1年間の寄附先が5団体以内の場合に限られます。

副業をしている人にとっての問題はここからです。総務省は、確定申告をする人や6団体以上にワンストップ特例を申請した人には特例が適用されないと案内しています。副業の所得が20万円を超えて確定申告をすることになった時点で、申請済みのワンストップ特例は使えなくなります。

いちばん多い取りこぼし

「ワンストップの書類は出したから、確定申告には副業のことだけ書けばいい」——これが落とし穴です。確定申告をする場合は、ワンストップ特例を申請した寄附も含めて、その年の寄附をすべて申告書の寄附金控除欄に書く必要があります。書き漏らした寄附は控除されず、ただの寄附になります。

寄附先の自治体から届く寄附金受領証明書は、ワンストップ特例を申請した分も捨てずに保管しておきましょう。確定申告の段階で全部の金額が必要になります。副業の確定申告の流れは確定申告ガイドで確認できます。

「20万円以下なら何もしなくていい」は所得税だけの話

給与所得者は、給与以外の所得が年20万円以下なら所得税の確定申告が不要になる場合があります。ただし、このルールは所得税の確定申告にだけかかるものです。住民税には同じ仕組みがなく、副業の所得はお住まいの市区町村への住民税の申告が別に必要です(住民税の基本は副業の住民税の記事で整理しています)。

もうひとつ見落とされやすいのが、ふるさと納税のために確定申告をする場合です。たとえば寄附先が6団体以上になってワンストップ特例が使えず、確定申告で寄附金控除を受けることにした。この場合、副業の所得が20万円以下でも、確定申告書には副業の所得も含めて書くのが原則です。「20万円以下は申告不要」は、そもそも確定申告をしない人のための扱いだからです。

あなたの状況寄附金控除の受け方副業所得の申告
副業所得20万円超確定申告で全寄附を記載(ワンストップは無効)確定申告に含める
副業所得20万円以下・寄附先5団体以内住民税の申告書に全寄附を記載(申告するとワンストップは無効)住民税の申告が別途必要
副業所得20万円以下・寄附先6団体以上確定申告で全寄附を記載確定申告に副業所得も含める

見落としやすいのは表の「副業所得20万円以下・寄附先5団体以内」の行です。多くの自治体が案内しているとおり、ワンストップ特例は確定申告書だけでなく住民税の申告書を出した場合も無効になります。20万円以下で住民税の申告をする人は、寄附もその申告書に書いておけば控除の取りこぼしを防げます。書き忘れた場合は、寄附を含めて申告し直す必要があります。

2025年10月から、ポイント付きの募集は禁止

総務省はふるさと納税の対象となる自治体の指定基準を見直し、2025年10月1日から、寄附に伴ってポイントなどを付与するポータルサイト等を通じた募集を禁止しました。これまで「どのサイトで寄附するとポイントが何%付くか」で選んでいた人は、その前提がなくなっています。

副業の視点で言えば、ポイント還元を見込んで上限ぎりぎりまで寄附する理由は薄れました。上限の見積もりに不安がある年は、余白を残しておくほうが合理的です。

期限は2つ:寄附は12月31日、ワンストップは翌年1月10日

その年の控除の対象になるのは、1月1日から12月31日までに行った寄附です。年末ぎりぎりの寄附は、決済方法によっては寄附日の扱いがずれることがあるため、各自治体やサイトの案内を確認してください。

ワンストップ特例の申請書は、寄附した翌年の1月10日までに寄附先の自治体へ届くように出します。住所などが変わった場合の変更届も同じ期限です。副業の利益の見込みが年明けまで固まらない人は、ワンストップ特例に頼らず確定申告で控除を受けるつもりで準備しておくと慌てません。

年末に慌てないための4ステップ

やることは多くありません。順番が大事です。

副業の年間利益の見込みを出す:1月から今月までの報酬と経費を集計し、12月までの見込みを足す(売上ではなく利益で)
上限の目安を出す:シミュレーターに給与だけでなく副業の所得も入れる。雑所得の赤字は給与から差し引かない
余白を残す:見込みが外れても上限を超えないよう、目安より少なめに寄附する。年末の報酬確定でブレるのが副業の特徴
申告方法を決める:副業所得が20万円を超えそうなら、最初から確定申告で全寄附を書く前提で受領証明書を保管する
迷う点はメモにして、所轄の税務署・お住まいの市区町村・税理士に確認する

ふるさと納税の上限は、給与明細だけでは決まりません。副業をしている人にとっては、副業の利益をいくらと見込むかがそのまま上限の見込みになります。年末の数字が固まる前に寄附を急ぐより、利益の見込みを先に出すほうが、取りこぼしも払いすぎも防げます。

よくある質問(FAQ)

副業の利益が増えると、ふるさと納税の上限は上がりますか?
上がる方向に動きます。総務省の説明では、住民税の控除のうち「特例分」は住民税所得割額の2割が上限です。副業の利益(収入から経費を引いた所得)が増えると所得割額が増えるため、上限も上がります。目安になるのは売上ではなく所得です。
副業が赤字なら、上限は下がりますか?
所得区分によります。国税庁のタックスアンサー(No.1500・No.2250)によると、雑所得の損失は給与所得など他の所得と損益通算できません。会社員の副業が雑所得なら、赤字でも給与側の所得は減らないため、そのぶん上限が下がることはありません。事業所得の赤字は損益通算の対象になるため、上限が下がる可能性があります。
ワンストップ特例を申請済みですが、副業の確定申告をすることになりました。どうすればいいですか?
総務省の案内では、確定申告をするとワンストップ特例は適用されません。申請済みの寄附も含め、その年の寄附をすべて確定申告書の寄附金控除に記載します。書き漏らした寄附は控除されません。
副業所得が20万円以下で確定申告をしない場合、住民税はどうなりますか?
所得税の確定申告が不要になる20万円以下のルールは所得税だけの扱いで、住民税には同じ仕組みがありません。副業の所得はお住まいの市区町村への住民税の申告が別途必要です。なお、住民税の申告書を出すとワンストップ特例は無効になります。その場合は、住民税の申告書にふるさと納税の寄附も書いてください。

【免責事項】OlympTradeは日本の金融庁(FSA)に登録されていない海外プラットフォームで、日本の投資家保護制度の対象外です。本記事はKingfin日本語版編集部による情報提供・教育目的のコンテンツであり、税務相談ではありません。記載しているのは総務省・国税庁が公表している情報の一般的な整理であって、個々の納税者の控除上限額や申告の要否を判断するものではありません。法令・通達は改正されることがあります。記事公開時点(2026年10月6日)の内容に基づいています。

Hiro Hiraki
執筆者
Hiro Hiraki
Kingfin JP 編集長。金融・FinTech分野の翻訳に15年以上携わるFXアフィリエイトの専門家。日英バイリンガル。