この記事でわかること
  • NISA口座で生じた損失は税務上「ないものとみなされ」、他の口座の譲渡益や配当との損益通算も繰越控除もできないこと(国税庁 No.1535)
  • 副業で出た利益にかかる税金は、その年ではなく翌年に現金で出ていくこと。所得税の申告・納付は翌年2月16日から3月15日まで、住民税は前年1月1日から12月31日までの所得で算定される
  • NISAの非課税枠は、売却しても当年には戻らず「翌年以降」に簿価分だけ復活すること。だから「増やす」より先に「引き出せる状態」を作る順番になる

この記事の要点:よくある質問

Q: 副業で出た利益は、すぐNISAに入れたほうが有利ですか?
A: 有利か不利かの前に、そのお金がいつ必要になるかを先に決める話だと考えています。副業の利益には翌年に税金の支払いが控えており(所得税の納付は翌年3月15日まで、住民税は前年の所得で算定)、NISA口座で値下がりしても、その損失は税務上ないものとみなされて他の口座の利益と相殺できません(国税庁 No.1535)。出ていく現金の予定が先に決まっているお金は、値動きのある場所に置かないほうが扱いやすい、というのが本記事の整理です。
Q: NISAの枠は、売ればすぐ空きますか?
A: いいえ。金融庁の説明では「商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります」とされています。復活は翌年以降で、年間投資枠はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円と年単位で決まっています。売って買い直すことを前提にした資金繰りには向きません。
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はじめにお読みください(一般的な情報提供です)

この記事は、副業で利益が出はじめた段階のお金の置き場所の考え方を整理した情報提供・教育目的のコンテンツです。個別の投資助言ではなく、特定の商品や運用方法をすすめるものでもありません。制度の内容は金融庁・国税庁・総務省・日本取引所グループの公表資料を確認して書いていますが、個別の税務の判定は必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。最終的な判断はご自身で行ってください。収益や節税の効果を保証するものではありません。

通帳の数字が、はじめて4桁になった日

副業をはじめて何か月か経つと、ある日はじめて入金の通知が届きます。3,200円とか、8,700円とか、そういう桁です。労力に見合っているかと言えば、まったく見合っていません。それでも、自分が書いたものや作ったものが、金額という形になって返ってきた最初の一回です。

そのあと、ほとんどの人が同じことを考えます。これを寝かせておくのはもったいない、と。ちょうど非課税で運用できる制度があって、口座も無料で作れて、月100円から積み立てられる。翌月には積立の設定を済ませ、入ってくるたびに自動で投資に回る仕組みができあがります。

気持ちはよく分かります。ただ、この順番だと、たいてい1年後に困ります。困るのは相場が下がったときではなく、現金が要る日が先に来たときです。

最初に作るべきは「増える状態」ではなく、「引き出せる状態」

この記事では、副業の利益をNISAに入れる前に、なぜ現金で置いておく分を決めておくのかを、制度の側から順に整理します。NISAが悪い制度だという話ではまったくありません。使う順番の話です。

副業の税金は、翌年に現金で出ていく

いちばん見落とされやすいのがここです。今年出た利益に対する税金は、今年ではなく翌年に、現金で出ていきます。

所得税について、国税庁は「所得税法では毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について、翌年2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納付することになっています」と説明しています(No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁)。つまり2026年に出た利益の所得税は、2027年の3月15日までに払うことになります。

会社員の場合、申告が必要になるかどうかの目安もあります。給与を1か所から受けていて全部が源泉徴収の対象なら、「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」が確定申告をしなければならない人に挙げられています(No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁)。なお、アフィリエイトも暗号資産も、所得の種類は取引の実態によります。暗号資産については国税庁が「ビットコインをはじめとする暗号資産を売却又は使用することにより生じる利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、その他の雑所得に該当します」としています(確定申告書等作成コーナー|国税庁)。

そして住民税です。総務省は個人住民税の所得割について「所得割の税率は、所得に対して10%(道府県民税が4%、市町村民税が6%)とされており、前年の1月1日から12月31日までの所得で算定されます」と説明しています(総務省|地方税制度|個人住民税)。前年の所得で算定される、という部分がここでは効いてきます。

「2026年に出た利益」にひもづく現金の予定
  • 2026年1月1日〜12月31日 … 利益が発生する
  • 2027年2月16日〜3月15日 … 所得税の確定申告と納付(国税庁 No.2024)
  • 2027年度 … 前年(2026年)の所得をもとに算定された住民税の負担(総務省)

※ 金額・申告の要否・所得区分は個別の事情で変わります。判定は所轄の税務署または税理士にご確認ください。

利益が出た月と、その税金を払う月のあいだには、最長で1年以上の時間があります。この間に利益を全部NISAに入れてしまうと、払う段になって払うためだけに売るという、いちばんやりたくない動きが必要になります。

NISAでは、損が「なかったこと」になる

ここが、課税口座とはっきり違う点です。国税庁はこう書いています。

国税庁 No.1535「NISA制度」より

「非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます。したがって、その上場株式等を売却したことにより生じた損失について、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益との損益通算や、繰越控除をすることはできません」

言い換えると、NISA口座で20万円の含み損を確定させても、その20万円は他の口座で出た利益を減らすためには一切使えませんし、翌年以降に繰り越すこともできません。非課税というのは「利益に税金がかからない」の裏返しとして、「損失も税務上は存在しない」という扱いだということです。

副業の利益をそのまま突っ込んだ場合、これが重なります。税金を払うために売って、そのとき値下がりしていたら、減った分は取り返す手立てがないまま、税金の支払いだけは満額で来ます。出ていく日が決まっているお金ほど、値動きのある場所に置く理由が薄いのは、このためです。

売っても、その日のうちに現金にはならない

もうひとつ、時間の話です。画面上で「売却」を押した瞬間に、銀行口座の残高が増えるわけではありません。

上場株式等については、日本取引所グループが「2019年7月16日(火)(約定分)よりT+2化を実施することとされ、当該日の取引より株式等の受渡日が1営業日早まり、取引日から起算して3営業日目の日に受渡しが行われております」と説明しています(株式等の決済期間短縮化(T+2化)|日本取引所グループ)。約定してから受渡までに営業日が挟まり、そこから証券口座の資金を銀行に出金する手続きがさらに乗ります。土日や連休を跨げば、体感はもっと伸びます。

投資信託の場合は商品ごとに約定日や受渡日の扱いが定められているため、一律には言えません。自分が積み立てているファンドの目論見書や販売会社の説明で、解約からお金が戻るまでに何営業日かかるかを一度だけ確認しておくと、慌てる回数が減ります。

「売れば現金になる」は本当。ただし、今日中ではない

非課税枠は、年単位でしか戻ってこない

「足りなくなったら売ればいい、枠はまた使えるし」と考えたくなりますが、枠の戻り方にも決まりがあります。金融庁の説明はこうです。

金融庁「NISAを知る」より

「商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります」

年間投資枠は「つみたて投資枠がつみたてNISAの3倍の年間120万円、成長投資枠が一般NISAの2倍の年間240万円に拡大され、併用により合計で年間360万円まで拡大しました」、生涯の非課税保有限度額は「1,800万円が上限」で「成長投資枠はそのうち1,200万円が上限」とされています。

復活するのは翌年以降で、戻るのは時価ではなく簿価(取得金額)の分です。年間の投資枠そのものも、年をまたがないと新しくなりません。

項目内容出典
年間投資枠つみたて投資枠120万円/成長投資枠240万円(併用で年間最大360万円)金融庁
非課税保有限度額1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円が上限)金融庁
非課税保有期間2024年からのNISAでは無期限金融庁
売却後の枠翌年以降、売却した商品の簿価の分だけ復活金融庁
損失の扱いないものとみなされ、損益通算・繰越控除はできない国税庁 No.1535

非課税保有期間が無期限になったということは、急いで枠を埋める理由が以前より薄いということでもあります。期限に追われて今年のうちに入れなければ、という話ではなくなりました。急がなくていい制度に、急いで現金を移す必要はありません。

生活防衛資金と、投資のお金を混ぜない

ここまでの3つ——税金が翌年に来ること、NISAの損は相殺できないこと、現金化に日数がかかること——を合わせると、やることは自然に決まります。ひとつの口座で全部をやらない、それだけです。

私たちが自分たちの運用で使っている分け方は、箱を3つにするだけの単純なものです。名前は何でも構いません。

1
税金の箱。副業の利益が入るたびに、一定割合をここへ移す。使わない。翌年の申告と納付、住民税の負担にあてる。割合は自分の所得区分と税率で変わるので、自分の数字で決める(判定は税務署・税理士へ)
2
生活の箱。収入がゼロになっても生活が続く分の現金。金額は家賃・家族構成・雇用の安定度で人それぞれなので、他人の「何か月分」をそのまま借りてこない
3
投資の箱。1と2が埋まったあとに残ったぶん。ここではじめてNISAの出番になる。減っても生活と納税に影響しない範囲であることが条件

順番が大事で、3から始めると1と2がいつまでも埋まりません。副業の利益は毎月一定ではないので、「余ったら回す」にすると、余らない月にだけ現実が来ます。

利益が入る口座と、生活費の口座を分けている
翌年の納税にあてる分を、入金のたびに別口座へ移している
積み立てているファンドが、解約から入金まで何営業日かかるか把握している
「これは今年の税金の分」と言える金額が、手元にある

「増やす」の前に置く、3つの順番

まとめると、副業の利益が出はじめた段階での順番はこうなります。増やす話は最後です。

やりがちなこと代わりにやること
入金のたびに自動で積立に回す入金のたびに、まず税金の分を別口座へ移す
非課税枠を埋めることを目標にする現金で持つ金額を先に決めて、残りで枠を使う
足りなくなったら売ればいいと考える売却から入金までの日数と、枠が翌年まで戻らないことを前提に置く
損が出たら他の利益と相殺する前提でいるNISA口座の損失は相殺できない前提で金額を決める

この4行は、どれも「儲けを減らす」方向の話に見えます。実際には逆で、売らなくていい状態を作るための準備です。長く置いておけるかどうかは、相場ではなく、手元の現金で決まります。

今日やることは、ひとつだけ

今年に入ってからの副業の利益を、合計してみてください。通帳でもASPの管理画面でも構いません。金額が出たら、そのうち税金にあてる分を自分の条件で見積もって、別の口座に移す。それだけです。

移した瞬間、残りの金額は「使っても納税に影響しないお金」に変わります。そこから先は、NISAでも、次の記事の外注費でも、好きに使って構いません。判断が軽くなるのは、金額が増えたからではなく、どれが自分のお金で、どれが預かっているお金かが分かれたからです。

増やす作業は、そのあとでも間に合います。非課税保有期間は無期限になりました。急いでいるのは制度ではなく、こちらの気持ちのほうです。

よくある質問(FAQ)

NISAで損が出たら、副業の利益と相殺できますか?
できません。国税庁は「非課税口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます」とし、特定口座や一般口座の配当等・譲渡益との損益通算も繰越控除もできないと説明しています(No.1535)。そもそも副業の所得と上場株式等の譲渡損益は課税の枠組みが異なるため、相殺を前提にした資金計画は立てないほうが安全です。個別の判定は所轄の税務署または税理士にご確認ください。
現金はいくら残しておけばいいですか?
金額を他人が決められる質問ではありません。家賃・家族構成・本業の安定度・翌年に確定している納税額で変わるからです。ただ、決め方の順番は共通で、①翌年の納税にあてる分、②収入が止まっても生活が続く分、③そのうえで残った分、の順に埋めます。①は見積もりが立つ数字なので、まずここだけ切り出すのが現実的です。税額の見積もりは所轄の税務署または税理士にご相談ください。
枠を使わない年があると、もったいないのでは?
年間投資枠(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)は年ごとの上限なので、使わなかった分がそのまま翌年に繰り越されるわけではありません。ただし2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限になり、生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)です。生活と納税に必要な現金を削ってまで枠を埋める合理性は薄いと考えています。判断はご自身で行ってください。
売却すれば、その分の枠はすぐ使えますか?
当年ではなく翌年以降です。金融庁は「商品を売却した場合、翌年以降売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税投資枠が復活し、再利用が可能になります」と説明しています。戻るのは時価ではなく簿価の分です。加えて、上場株式等は「取引日から起算して3営業日目の日」に受渡しが行われる(日本取引所グループ)ため、現金が手元に届くまでにも日数がかかります。

【免責事項】本記事はKingfin日本語版編集部による情報提供・教育目的のコンテンツであり、特定の金融商品の取得や特定の運用方法を勧誘・推奨するものではありません。記事中の制度に関する記載は、執筆時点(2026年9月)で金融庁・国税庁・総務省・日本取引所グループが公表する資料を確認したものですが、制度・税制は改正されます。税務上の取扱いは個別の事情によって異なり、所得区分や申告の要否の判定は所轄の税務署または税理士にご確認ください。本記事は個別の投資助言ではなく、記載の内容によって収益が得られること、損失が生じないことを保証するものではありません。また、Kingfinのアフィリエイトで紹介するOlympTradeはFX・バイナリーオプション関連のトレードサービスであり、日本国内で金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。トレードには元本を失うリスクが常に伴い、「必ず稼げる」「絶対に増える」といった保証はできません。アフィリエイトの成果・報酬額にも保証はなく、結果には個人差があります。投資は必ず余剰資金の範囲で、ご自身の判断と責任において行ってください。

Hiro Hiraki
執筆者
Hiro Hiraki
Kingfin JP 編集長。金融・FinTech分野の翻訳に15年以上携わるFXアフィリエイトの専門家。日英バイリンガル。