この記事でわかること
  • 確定申告の期間が原則として翌年2月16日から3月15日までである以上、そのとき手元にあるのは12月31日までに残したものだけ、という時間の構造
  • 経費の判定条件が「明らかに区分できるか」である以上、年内にやる価値が高いのは会計ソフト選びより口座とカードを分けることだという理由
  • 帳簿書類の保存が雑所得と事業所得の区分に関わることと、記録の義務が「前々年分」の収入金額で決まるという線の引き方

この記事の要点:よくある質問

Q: 副業の記録は、いつから付け始めれば間に合いますか?
A: 始めた月から後ろは楽になる、という性質の話です。9月に始めれば年内の残り4か月ぶんは記録が揃い、1月から8月ぶんは明細が管理画面やメールに残っている範囲で拾い直すことになります。年をまたいでから始めると、その年ぶんは丸ごと思い出す作業になります。
Q: 副業の所得が20万円以下なら、記録も要らないのですか?
A: 国税庁のNo.1900が挙げているのは「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」で、これは収入から必要経費を引いた後の金額です。つまり経費の記録が無いと、自分が20万円を超えているかどうかも計算できません。記録は、その判断の手前にあります。
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はじめにお読みください(一般的な情報提供です)

この記事は、副業の記録の付け方について一般的な情報を整理した情報提供・教育目的のコンテンツです。税額の計算や、ある支出が経費に当たるかどうかといった個別の判定は、その人の収入の規模・働き方・契約の形によって変わります。この記事では個別の判定をしません。制度の根拠は国税庁のページを都度示すので、自分のケースに当てはめる段階では所轄の税務署か税理士に確認してください。税制は改正されます。読んでいる時点で最新かどうかも、リンク先で確かめてください。

2月にまとめてやろうとして、失敗した

私が副業のアフィリエイト報酬を初めて申告した年、記録は2月にまとめて作ればいいと思っていました。報酬の額は管理画面に残っているし、入金は口座を見れば分かる。それで足りるだろう、と。

足りませんでした。報酬のほうは確かに残っていて、そこは問題なかった。全滅したのは経費のほうです。カードの明細に並んだ決済のうち何割かは、何に使ったのか思い出せない。記事のために買った本なのか、単に読みたかった本なのか、明細の文字列からは区別がつきません。結局、思い出せなかった分は経費に入れずに出しました。

金額としては大した話ではありません。ただ、あの数日の作業は本当に無駄でした。しかも同じことを翌年もやっています。2月がしんどいのは2月のせいではなく、その前の12か月に何も残していないからだと理解するのに、私は2年かかりました。

確定申告の期間は、国税庁のNo.2020 確定申告に「原則として、その年の翌年2月16日から3月15日までです」と書かれています。2026年分なら2027年の2月16日から。この日付を裏から読むと、そのとき手元にあるのは12月31日までに残したものだけだ、ということになります。

2月に手元にあるのは、12月31日までに残したものだけ

だから9月なんです。年内にまだ4か月ある今なら、習慣を作り直せば年の3分の1はきれいに残る。2月に気づいたところで、できるのは思い出そうとすることだけです。

最初にやるのは帳簿ではなく、お金の通り道を分けること

この手の記事はだいたい「会計ソフトを入れましょう」から始まります。順番が逆だと思っています。ソフトを入れても、生活費と副業のお金が同じ口座に混ざっていれば仕分けの作業は消えません。作業がソフトの中に移動するだけです。

効くのは、口座とカードを分けることです。これは気分の話ではなく、経費の判定の条件がそうなっているからです。国税庁のNo.2210 必要経費の知識は、家事上と業務上の両方にかかわる費用(家事関連費)について、必要経費になるのは「取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます」と書いています。

条件は「明らかに区分できる」かどうかです。混ざった1つの口座から後で区分しようとすれば、その作業を2月にやることになる。分けておけば、区分は口座を作った時点でだいたい終わっています。

分けるものは、この3つで足りる
  • 入金先の口座:報酬を受け取る口座を1つ決めて、生活費の出し入れをそこでしない
  • 支払い用のカード:ツール・広告費・書籍など副業の支出をこの1枚に寄せる
  • ファイルの置き場:明細と領収書のデータを入れるフォルダを1つ決める

3つ目を、私は長いあいだ軽く見ていました。口座は分けたのに、支払通知メールは受信箱に埋まったまま、領収書のPDFはダウンロードフォルダに散っている状態です。これは分けたことになっていません。置き場が決まっていない記録は、探す時間が長すぎて結局使われないからです。

経費かどうかは、金額ではなく「区分できるか」で決まる

必要経費に何が入るのか、No.2210は2つの言い方をしています。ひとつは「総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額」、もうひとつは「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」です。

アフィリエイトで実際に迷うのは、この2つの真ん中あたりにあるものです。自宅の通信費、電気代、記事のために買った本、有料のツール、外注したライティング代。このうちどれがいくら経費になるかを、私はここで判定しません。収入の規模も働き方も人によって違いますし、判定は税務署か税理士の仕事です。

そのうえで、年内にできることはあります。迷った支出を、迷ったまま残しておくことです。落とす判断は2月でもできます。残していない記録だけは2月に作れません。

迷ったときに残す3行

私はスマホのメモに、日付・金額・何のために買ったかの3行だけ書いています。「経費」「私用」といった判定の言葉は書きません。書くのは事実だけです。たとえば「9/12/3,200円/記事内で比較するために有料プランを1か月契約」。この1行があるかないかで、2月に区分の説明ができるかどうかが変わります。

ついでに言うと、この3行は税金のためだけのものではありませんでした。半年ぶんたまると、自分が何にお金を使って何を書いてきたかが見えます。去年これを見返して、契約したまま記事に一度も使っていないツールを2つ解約しました。

証跡は、後から聞かれる形で残す

アフィリエイトの記録は、ほぼ全部が電子です。管理画面の報酬明細、支払通知のメール、着金が並んだ入出金明細。紙で届くものはほとんどありません。

国税庁の電子帳簿等保存制度特設サイトには、「取引に関する書類に通常記載される情報(取引情報)を含む電子データをやり取りした場合の、当該データに関する保存義務やその保存方法等についても同法により定められていますので、所得税法・法人税法上の保存義務者となる方は、特に『電子取引』についてご確認ください」と書かれています。自分が保存義務者に当たるかどうかは状況によって変わるので、ここでも判定はしません。

ただ、義務の話とは別に、実務としての問題があります。管理画面の明細をいつまで遡って見られるかは、自分では決められないということです。過去何か月ぶんを表示できるかはそのサービスの仕様で決まりますし、仕様は変わります。サービスそのものが終わることもあります。

だから私は、月に1回だけやることを決めました。月末に管理画面の明細をPDFで落として、「2026-09_報酬明細.pdf」のように年月から始まるファイル名にして、決めた1つのフォルダに入れる。5分もかかりません。年に12回やれば、その年ぶんの証跡が手元に揃います。

もうひとつ、フォルダの作り方が変わる話をしておきます。保存期間が、思っているより長いからです。No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度は、保存が必要なものと期間をこう並べています。

保存が必要なもの保存期間
収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)5年
決算に関して作成した棚卸表その他の書類5年
業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類5年

青色申告の場合も、No.2070 青色申告制度に帳簿書類は「原則として7年間保存する」とあり、書類によっては5年間でよいものもあると書かれています。どちらにしても月単位ではなく年単位の話です。フォルダを年ごとに切って、その年のものだけを入れる形にしておくと、あとで探すときの単位が合います。

雑所得と事業所得は、期待される記録の量が違う

アフィリエイトの報酬が雑所得なのか事業所得なのかという話は、このサイトの確定申告・税金の基礎でも扱っています。ここでは区分そのものではなく、区分と記録がつながっているという一点だけを書きます。

国税庁の法第35条《雑所得》関係にある所得税基本通達35-2の注は、こうなっています。

所得税基本通達35-2(注)より

「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(略)に該当することに留意する。」

読み方はいくつもあるでしょうが、少なくとも帳簿書類を保存しているかどうかが、区分の話に直接出てくることは読み取れます。記録は「付けておくと便利」なものではなく、その手前にあるものだということです。

記録が義務になる線も引かれています。No.1500 雑所得には、令和4年分以後、業務に係る雑所得があってその年の前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人は「現金預金取引等関係書類を保存する必要があります」とあります。同じページに、前々年分が1,000万円を超える人が確定申告書を提出するときは「収支内訳書など」の添付が必要だとも書かれています。逆に前々年分が300万円以下の人には、いわゆる現金主義の特例が認められています。

ここで気をつけたいのは、基準が「前々年分」の収入金額だということです。今年たくさん動いた人は、今年ではなく2年後の申告で義務の側に入ります。「今の自分は対象外だから記録は要らない」と決めてしまうと、2年後に対象になったときに、その手前の記録が無い状態から始めることになります。

もうひとつ、よく混ざって語られている話を分けておきます。国税庁が2022年9月に出したリーフレット「申告漏れがあった場合には…売上げに関する帳簿を作成・保存していない事業者の方は加算税が重くなります」は、売上げに関する帳簿を保存していなかったことなどが税務調査で把握された場合に、加算税(過少申告加算税・無申告加算税)の割合が「最大10%加重される措置」が講じられたと説明しています。適用は令和6年1月1日以後に法定申告期限等が到来する申告所得税などからです。ただ、このリーフレットが挙げている対象は「事業所得、不動産所得、山林所得を生ずべき業務を行う個人事業者」「法人」「消費税の課税事業者」です。雑所得だけの人は、ここに並んでいません。「帳簿が無いと誰でも加算税が重くなる」と書いてある記事を見かけますが、少なくともこのリーフレットの記載とは違います。自分がどちらに当たるかは、リンク先を実際に見て確かめてください。

12月31日を過ぎると作れないもの、3月15日を過ぎると選べないもの

年内の話と年明けの話を、期限で分けておきます。

12月31日

その年の所得の区切りです。年をまたいでから「9月のあの支払いは何だったか」を作り直すことはできません。年内の記録の話は、要するにこれだけです。

いわゆる20万円の線

会社員の副業でいちばん引用されて、いちばん雑に扱われている数字です。国税庁のNo.1900 給与所得者で確定申告が必要な人は「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」を、確定申告が必要な人として挙げています。

この20万円について、書く前に確かめたこと
  • 書かれているのは「所得金額」で、入金額ではありません。収入から必要経費を引いた後の金額です
  • これは所得税の確定申告が必要かどうかの基準です。住民税は別の制度で、そちらは副業の住民税「普通徴収」の記事で扱っています
  • No.1900には、給与収入が2,000万円を超える場合や2か所以上から給与を受けている場合など、別の条件も並んでいます。自分がどれに当たるかは、リンク先を実際に読むのがいちばん早いです

1つ目が、年内の記録に直接つながります。判断するのが経費を引いた後の金額なら、経費の記録が無い人は、自分が20万円を超えているかどうかも計算できないということになります。私は最初の年、これを「入金の合計」で見ていました。

3月15日

青色申告を考えるなら、期限があります。No.2070には、青色申告承認申請書の提出期限は「青色申告の承認を受けようとする年の3月15日」で、新規開業の場合は「業務を開始した日から2か月以内」と書かれています。

読み替えると、2027年分から青色にしたいなら2027年3月15日までに出す話で、2026年分についてはもう期限を過ぎています。これは年内にできることではなく、来年の分について今のうちに考えておくことです。青色にすべきかどうかは記帳の負担との見合いなので、ここでは勧めません。ただ、期限があるものは期限があると知っておく側が有利です。

記録の元になる管理画面を、先に見ておく

記録の付け方は、報酬の明細がどんな形で出てくるかを見てから決めたほうが早く決まります。Kingfinのアフィリエイトは登録も利用も無料で、管理画面から成果と報酬の履歴を確認できます。報酬が発生するかどうか、またその金額は保証されません。紹介先のトレードには元本を失うリスクがあります。

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12月31日までのチェックリスト

ここまでの内容を、9月から12月のあいだに手を動かせる形にします。

1 報酬の入金先とカードを、生活費から分ける:経費が「明らかに区分できる」かどうかの条件に、いちばん近いところで効く。今月分けても年内4か月ぶんはきれいに残る
2 明細と領収書のデータを入れるフォルダを、年ごとに1つ決める:保存期間は年単位で数えられている。フォルダの単位をそこに合わせておく
3 月末に報酬明細をPDFで落とす:管理画面がいつまで遡れるかは自分では決められない。年12回で、その年ぶんが手元に揃う
4 迷った支出は、日付・金額・目的の3行だけ残す:落とす判断は2月でもできる。記録は2月に作れない
5 経費を引いた後の金額を、年内に一度ざっくり出す:20万円の線は入金額ではなく所得金額で見る。ざっくりでも、桁が分かれば動き方が変わる
6 分からない論点を、質問の形にして書き出す:税務署や税理士に聞くとき、質問が言葉になっているかどうかで所要時間がまるで違う

この6つを全部やる必要はありません。年内に1つだけ増やすなら、1番にしてください。私は3年目に口座を分けて、そこで初めて2月が静かになりました。順番として先にやるべきだったものが、いちばん最後になったという話です。

よくある質問(FAQ)

副業のアフィリエイト報酬が20万円以下なら、何もしなくていいのですか?
国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」は、「各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人」を確定申告が必要な人として挙げています。ここで書かれているのは所得金額、つまり収入から必要経費を引いた後の金額であって、入金額そのものではありません。また、これは所得税の確定申告が必要かどうかの基準で、住民税は別の制度です。No.1900には給与収入が2,000万円を超える場合や2か所以上から給与を受けている場合など別の条件も並んでいるので、自分がどれに当たるかはリンク先で確かめてください。いずれにしても、経費の記録が無いと自分の所得金額が計算できないので、20万円を超えるかどうかに関わらず記録そのものは残しておくほうが安全です。
領収書や明細は、紙で残すべきですか、データで残すべきですか?
どちらが正しいと一律には言えません。国税庁の「電子帳簿等保存制度特設サイト」には、取引に関する書類に通常記載される情報を含む電子データをやり取りした場合の保存義務やその保存方法等も電子帳簿保存法により定められているとあり、所得税法・法人税法上の保存義務者となる方は特に「電子取引」を確認するよう書かれています。自分が保存義務者に当たるかどうかは状況によって変わるので、そこは税務署か税理士に確認してください。実務の面だけで言えば、アフィリエイトの報酬明細や支払通知はもともと電子で届くので、電子のまま置き場を決めるほうが手間が少なくて続きます。
帳簿を付けていないと、事業所得として申告できないのですか?
できないと言い切れる話ではありませんが、記録が区分の判断に関わることは通達に書かれています。所得税基本通達35-2の注は、事業所得と認められるかどうかはその所得を得るための活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定するとしたうえで、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く)には業務に係る雑所得に該当することに留意する、としています。実際の区分は個別の事情で判断されるものなので、自分のケースについては税務署か税理士に確認してください。
9月から始めても間に合いますか?
その年の分について言えば、9月に始めれば年内の残り4か月ぶんは記録が揃います。1月から8月ぶんは、明細が管理画面やメールに残っている範囲で拾い直すことになります。逆に年をまたいでから始めると、その年ぶんは丸ごと思い出す作業になります。間に合うかどうかというより、始めた月から後ろは楽になるという性質の話です。

【免責事項】本記事はKingfin日本語版編集部による情報提供・教育目的のコンテンツであり、税務代理・税務相談・個別の税務判断を行うものではありません。記載した制度の内容は執筆時点で国税庁のページを確認したものですが、税制は改正され、公表内容も更新されます。ある支出が必要経費に当たるかどうか、所得の区分がどうなるか、申告が必要かどうかといった判定は、その方の収入の規模・働き方・契約形態によって変わります。実際の申告や判断は、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。また、Kingfinのアフィリエイトで紹介するOlympTradeはFX・バイナリーオプション関連のトレードサービスであり、日本国内で金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。トレードには元本を失うリスクが常に伴い、「必ず稼げる」「絶対に増える」といった保証はできません。アフィリエイトの成果・報酬額にも保証はなく、結果には個人差があります。投資は必ず余剰資金の範囲で、ご自身の判断と責任において行ってください。

Hiro Hiraki
執筆者
Hiro Hiraki
Kingfin JP 編集長。金融・FinTech分野の翻訳に15年以上携わるFXアフィリエイトの専門家。日英バイリンガル。