- 外貨で報酬を受け取ると、所得は二段構えになること。第1段階は報酬が発生した日の円換算額、第2段階はその後に円へ換えて増減した分
- 円換算の原則は電信売買相場の仲値(TTM)で、不動産所得・事業所得・山林所得・雑所得を生ずべき業務については継続適用を条件に収入をTTB・経費をTTSで換算できること(所得税基本通達57の3-2)
- 同じ外貨で預け替えただけなら差益を認識せず、外貨で資産を買った時点で所得税法36条の「収入すべき金額」として実現すると国税庁の質疑応答事例が説明していること
- 外貨の取得が複数回ある場合は所得税法施行令118条1項に準じた平均レートで計算する方法が示されていること。つまり受取時の日付とレートが無いと、後から計算を組み立てられないこと
この記事の要点:よくある質問
- Q: 報酬をドルで受け取って、あとで円に換えました。税金はどこで発生しますか?
- A: 2か所を分けて考えます。報酬そのものは、発生した時点の円換算額で各種所得の金額を計算します。所得税法第57条の3第1項は、居住者が外貨建取引を行った場合の円換算額を「その外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額」としています。その後に円へ換えて増減した分は、報酬そのものとは別の為替差損益として整理されます。どちらの区分になるか、いくらになるかの個別の判断は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。
- Q: 受け取ったときのレートを記録していないと、どうなりますか?
- A: 第2段階の計算が組み立てられなくなります。為替差損益は「いくらで手に入れた外貨か」を起点に計算されるためです。国税庁の質疑応答事例は、外貨の取得が複数回ある場合について所得税法施行令第118条第1項に準じた平均レートで求める方法を示していますが、これは取得日と取得レートが分かっていることが前提です。日付と外貨額を残しておくことが、あとから効いてきます。
この記事は、海外の事業者から外貨で報酬を受け取っている方に向けて、制度の仕組みを一次情報から整理した情報提供・教育目的のコンテンツです。税務相談ではありません。あなたの所得区分、換算方法、申告義務の有無といった個別の判断は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。引用した条文・通達・記載は執筆時点(2026年9月)に国税庁のページで確認したものですが、法令も通達もその運用も変わります。
同じお金に、値段が2回つく
先月、1,000ドルの報酬が確定した。そのときのレートは1ドル145円。今月、そのドルを円に換えたら153円になっていて、14万5,000円のつもりだったものが15万3,000円になった。得をした話に見えます。
ところがこの8,000円は、報酬ではありません。アフィリエイトの仕事に対する対価として発生したのは、あくまで1,000ドルのほうです。8,000円が生まれたのは、報酬が確定してから円に換えるまでの間に、ドルという通貨の値段が動いたからです。仕事とは無関係のところで起きています。
前回の記事では「100万円を超えると税務署に伝わる」という噂を分解して、調書の基準と申告の基準が別物だという話を書きました。今回はその続きで、受け取った金額そのものの中身を分ける話です。噂の分解より地味ですが、こちらのほうが毎月の作業に直結します。
結論から書きます。外貨で報酬を受け取っている人の所得は、二段構えで考えます。
この2つを混ぜると、円転した日のレートで全部を計算してしまうことになります。それがどうして違うのかを、条文と通達で追います。
第1段階——報酬が発生した日の円換算額
起点は所得税法第57条の3(外貨建取引の換算)です。国税庁の質疑応答事例は、この条文の内容をこう説明しています。
「外貨建取引とは、外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいい、居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引の金額の円換算額はその外貨建取引を行った時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとされています」
読むべきところは「その外貨建取引を行った時における」の部分です。取引をした時点のレートで換算する、と書かれています。円に換えた時点でも、確定申告をする時点でもありません。
アフィリエイト報酬は「役務の提供」の対価として発生します。ですから、報酬が確定した日のレートで円に直したものが、報酬としての所得の金額になります。その後にドルのまま口座に置いていようが、値上がりしようが、この金額は動きません。
「まだ円に換えていないから、まだ所得になっていない」——これは成り立ちません。第57条の3が見ているのは外貨建取引を行った時点であって、円に換えたかどうかではないからです。前回の記事でも触れたとおり、確定申告の要否は資金を日本へ移したかどうかで決まるものではありません。
どのレートを使うか——TTM、TTB、TTS
「その時の相場」といっても、為替のレートは1つではありません。銀行が顧客に外貨を売るときの電信売相場(TTS)、顧客から外貨を買うときの電信買相場(TTB)、そしてその仲値である電信売買相場の仲値(TTM)があります。どれを使うかは、所得税基本通達57の3-2が定めています。
「法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場……と対顧客直物電信買相場……の仲値……による。」
「ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額……の計算においては、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費……又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。」
整理すると、こうなります。
| 場面 | 原則 | 業務に係る所得の計算での例外 |
|---|---|---|
| 売上・収入(=あなたの報酬) | 取引日のTTM(仲値) | 継続適用を条件に、取引日のTTB |
| 仕入・経費(原価・損失を含む) | 取引日のTTM(仲値) | 継続適用を条件に、取引日のTTS |
例外が使えるのは、通達の文言どおり「不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額」の計算においてです。そして条件は継続適用。年ごとに有利なほうへ切り替える、という使い方を想定した書き方にはなっていません。
どの金融機関の相場を見るかについても、同通達の注1が触れています。
「電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。」
ここでも「継続して」が出てきます。毎月違う銀行の公表値から都合のいいものを拾う、という運用は想定されていないと読めます。
もうひとつ、実務で必ずぶつかるのが「入金日が土日祝で相場が無い」という場面です。これも注3が答えを用意しています。
「当該日に為替相場がない場合には、同日前の最も近い日の為替相場による。」
「当該日に為替相場が2以上ある場合には、その当該日の最終の相場(当該日が取引日である場合には、取引発生時の相場)による。ただし、取引日の相場については、取引日の最終の相場によっているときもこれを認める。」
この通達は令和7年の改正(令7課個2-10、課法12-5、課審5-10)を経ています。また、業務に係る所得の計算では月次の平均相場などを使える余地も注2に定められており、どれを選ぶかは継続適用の縛りとセットで考える必要があります。ご自身の換算方法は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。この記事は通達に何が書かれているかを示すところまでです。
第2段階——円に換えて増えた分は、別の話になる
ここからが本題です。報酬が確定した日の円換算額は、第1段階で確定しました。では、そのドルを口座に置いたまま値上がりして、半年後に円に換えたとき、増えた分はどう扱うのか。
国税庁の質疑応答事例に、境界線を引いている2つの事例があります。まず「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」。1ドル100円のときに預けた1万ドルの定期預金が満期になり、1ドル110円のときに払い出して、同じドルのまま別の銀行へ預け替えた、という事例です。10万円分の含み益があります。
「為替差益を認識する必要はありません。」
理由として、「同一の外国通貨で預入及び払出が行われる限り、その金額に増減はなく、実質的には外国通貨を保有し続けている場合と変わりはなく、このような外貨の保有状態に実質的な変化がない外貨建預貯金の預入及び払出については、その都度これらを外貨建取引として為替差損益が認識されることは実情に即さない」と説明されています(所得税法施行令第167条の6第2項の趣旨)。
ドルをドルのまま動かしているうちは、値段が動いても課税の対象になる所得は出てこない。これがひとつ目の線です。
もうひとつが「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して貸付用の建物を購入した場合の為替差損益の取扱い」。こちらはドル建ての預金を払い出して、米国内の貸付用建物を12万ドルで購入した事例です。
「為替差益を所得として認識する必要があります。」
理由は「新たな経済的価値(その購入時点における評価額)を持った資産が外部から流入したことにより、それまでは評価差額にすぎなかった為替差損益に相当するものが所得税法第36条《収入金額》の収入すべき金額として実現したものと考えられます」と説明されています。
2つの事例が示しているのは、金額の大小ではなく状態が変わったかどうかという線引きです。ドルをドルのまま動かすのは状態が変わっていない。ドルで何かを手に入れるのは状態が変わっている。この考え方に照らせば、ドルを円に換える行為をどう位置づけるかも見えてきます。
ただし、円転そのものを扱った質疑応答事例をここで引くことはしません。上の2つは預け替えと資産購入の事例であって、円転の事例ではないからです。ご自身の円転がどう扱われるかは、所轄の税務署または税理士にご確認ください。この記事が言えるのは、報酬本体の所得と、その後の為替の動きによる差損益は、国税庁の説明の中で別々のものとして扱われている、というところまでです。
為替差損が出ても、給与とは相殺できない可能性が高い
所得区分の話を、正直に書きます。
所得税法第57条の3は円換算の方法を定めた規定で、所得区分そのものを定めた規定ではありません。区分は、国税庁 No.1300「所得の区分のあらまし」が示す10種類のどれに当たるかで判断されます。そしてNo.1500「雑所得」は、雑所得を「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得」と定義しています。
実務では為替差損益を雑所得として扱う説明が広く見られます。ただし、業務に付随して生じたものかどうかなどで結論は変わり得るため、この記事では区分を断定しません。断定できないからこそ、押さえておくべき結果が1つあります。
「雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、他の所得の金額と損益通算はできません。」
つまり、円高に振れて為替差損が出たとして、それが雑所得に区分されるなら、給与所得から差し引いて税金を取り戻すことはできません。「増えたら課税、減ったら相殺」という対称にはならない、ということです。上振れの話だけを聞いて外貨で寝かせておく判断をすると、下振れのときに逃げ道が無い。
ついでに、No.1500 にはもうひとつ実務に直結する記載があります。
- 前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合、現金預金取引等関係書類を保存する必要がある
- 前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が1,000万円を超える場合、確定申告書に総収入金額や必要経費の内容を記載した書類(収支内訳書など)の添付が必要になる
- 前々年分の収入金額が300万円以下の場合、いわゆる現金主義の特例を使える(ただし確定申告書にこの特例を受ける旨の記載が必要)
基準になるのは前々年です。今年の収入で今年の義務が決まるのではありません。今から伸ばすつもりなら、書類の保存は今年から習慣にしておくほうが早いということになります。
国税庁 No.1520「金融類似商品と税金」は、源泉分離課税の対象となるものの1つとして「外貨建預貯金で、その元本と利子をあらかじめ定められた利率により円または他の外貨に換算して支払うこととされている換算差益」(例:外貨投資口座の為替差益)を挙げています。これらは一律20.315パーセントの税率で源泉徴収され、他の所得と合算して確定申告する必要はないとされています。為替予約の有無で入口が変わるということです。
レートを記録していないと、後から復元できない
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
第2段階の計算は、「いくらで手に入れた外貨か」を起点にします。増えた分を求めるには、元の値段が要ります。そして報酬は毎月、違うレートの日に、違う金額で入ってきます。1年で12回、月2回の支払なら24回。それぞれに違うレートが付いています。
この「複数回に分けて取得した外貨」をどう計算するか、国税庁の質疑応答事例が具体例で示しています。建物購入の事例の後半部分です。
「建物の購入に充てた外国通貨の取得が複数回ある場合の為替差損益の計算については、所得税法施行令第118条第1項《譲渡所得の基因となる有価証券の取得費等》の規定に準じて、次のとおり計算するのが相当です。」
保有するドルの1ドル当たりのレート:〔10,000,000円(預金A)+5,600,000円(預金B)〕÷15万ドル=104円
為替差益:(120円−104円)×12万ドル=192万円
預金Aは1ドル100円で10万ドル、預金Bは1ドル112円で5万ドル。合わせて15万ドルを平均すると1ドル104円。そして建物購入時のレートが120円だったので、差の16円に使った12万ドルを掛けて192万円という計算です。
この計算を成立させているのは、「いつ、いくらのレートで、何ドル手に入れたか」が全部分かっていることです。1つでも欠けると平均が出せません。
報酬の入金は、事業者側の管理画面には残ります。銀行口座の入金記録にも残ります。しかし「その日のレート」だけは、どこにも自動では残りません。相場は毎日公表されますが、あなたがどの日のどの相場を採ったかという選択は、あなたしか記録できません。そして通達は「継続して使用している場合には、これを認める」と書いています。継続していることを示せるのは、記録だけです。
2月に1年分をまとめて思い出そうとすると、ここで止まります。入金額は分かる。日付も分かる。でも、どのレートをどの基準で採るかを1月分ずつ遡って決め直すことになり、しかも「継続適用」を後から作ることはできません。
USDTで受け取っている人は、ここから先が違う
ここまでは外国通貨の話です。所得税法第57条の3が言う外貨建取引は、国税庁の説明どおり「外国通貨で支払が行われる」取引を指します。
報酬をUSDTなどで受け取っている場合、この枠組みをそのまま当てはめることはできません。暗号資産には別の整理があります。
国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」は、暗号資産を売却または使用することにより生ずる利益について、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生ずる場合を除き、原則として雑所得に区分され、確定申告が必要になると説明しています。
同ページでは取得価額の計算用に「暗号資産の計算書(移動平均法用)」と「暗号資産の計算書(総平均法用)」が配布されており、暗号資産交換業者から送付される年間取引報告書を利用して計算する場合には総平均法用を使用するよう案内されています。
さらにややこしいのは、ステーブルコインが法令上どう位置づけられるかによって扱いが分かれ得る点です。「ドルに連動しているのだから実質ドルだろう」という感覚で外貨の枠組みを当てはめると、計算方法から届出の要否まで、まるごとずれる可能性があります。
自分が受け取っているものが法令上どれに当たるのかを含めて、所轄の税務署または税理士にご確認ください。この記事は、外貨と暗号資産が別の枠組みで整理されているという事実を示すところまでです。
今日やること
制度の話が続きましたが、手を動かせることは短いリストに収まります。
この記事に出てきた条文と通達は、どれも「いくら納めるか」を直接は決めていません。決めているのは何を、いつの値段で数えるかです。数え方の規則がある以上、数える材料が要ります。材料は、入金の瞬間にしか手に入りません。
円に換えて8,000円増えていたという話に戻ります。増えた事実に気づいたなら、その時点で残すべきものは「8,000円得した」というメモではなく、145円で受け取って153円で換えた、という2つの数字です。前者は感想で、後者は計算の材料になります。
報酬の受け取り方そのものについては報酬はいつ・どう届くかを、確定申告の全体像についてはFXアフィリエイトの確定申告ガイドを、アフィリエイト報酬の税金の基礎についてはアフィリエイト報酬と税金の基本を合わせてどうぞ。
よくある質問(FAQ)
【免責事項】OlympTradeは日本の金融庁(FSA)に登録されていない海外プラットフォームで、日本の投資家保護制度の対象外です。本記事はKingfin日本語版編集部による情報提供・教育目的のコンテンツであり、税務相談ではありません。記載しているのは公表されている法令・通達・国税庁ページの一般的な整理であって、個々の納税者の所得区分、外貨の換算方法、為替差損益の認識時期、申告義務の有無を判定するものではありません。ご自身の個別の判断は、必ず所轄の税務署または税理士にご確認ください。本文で為替差損益の所得区分を断定していないのは、所得税法第57条の3が円換算の方法を定めた規定であって所得区分を定めた規定ではなく、個別の事情により結論が変わり得るためです。引用した条文・通達・記載は、執筆時点(2026年9月)に国税庁のページ(法第57条の3《外貨建取引の換算》関係、質疑応答事例「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」「預け入れていた外貨建預貯金を払い出して貸付用の建物を購入した場合の為替差損益の取扱い」、No.1300、No.1500、No.1520、No.1900、暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について)で確認したものですが、法令・通達およびその運用は変更されます。冒頭の1,000ドル・145円・153円という数字は説明のための仮の例であり、実際の相場でも特定の運用成果でもありません。また、Kingfinのアフィリエイトで紹介するOlympTradeはFX・バイナリーオプション関連のトレードサービスであり、日本国内で金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。トレードには元本を失うリスクが常に伴い、「必ず稼げる」「絶対に増える」といった保証はできません。アフィリエイトの成果・報酬額にも保証はなく、結果には個人差があります。