税金・確定申告 2026
ドルで受け取って、円に換えたら増えていた。
その増えた分は、報酬とは別の所得です
所得税法57条の3・所得税基本通達57の3-2・国税庁の質疑応答事例から、外貨報酬の「二段構え」を整理する。
2段階
報酬の円換算額/その後の為替差損益
TTM
円換算の原則(通達57の3-2)
継続適用
TTB・TTSを使う場合の条件
9枚
2
同じお金に、値段が2回つく
2 / 9
1,000ドルの報酬。確定日は145円、円転日は153円。
差の8,000円は報酬ではない。
仕事の対価として発生したのは1,000ドルのほう。8,000円が生まれたのは、報酬が確定してから円に換えるまでの間に通貨の値段が動いたからで、仕事とは無関係のところで起きている。
💡 報酬として発生した分と、通貨の値動きで増えた分。この2つは同じ入金の中に混ざったまま届く(金額は説明用の仮の例)
3
第1段階:報酬が発生した日の円換算額
3 / 9
所得税法57条の3第1項(国税庁の説明より):居住者が外貨建取引を行った場合の円換算額は「
その外貨建取引を行った時における
外国為替の売買相場により換算した金額」として各年分の各種所得の金額を計算する。
①
見ているのは
取引をした時点
。円に換えた時点でも、申告する時点でもない
②
アフィリエイト報酬は「役務の提供」の対価。
確定した日のレート
で円に直したものが報酬としての所得
⚠️ 「まだ円に換えていないから所得になっていない」は成り立たない。ドルのまま置いていてもこの計算は発生する
4
どのレートを使うか——TTM・TTB・TTS
4 / 9
原則
業務に係る所得の計算での例外
売上・収入(報酬)
取引日の
TTM
(仲値)
継続適用を条件に、取引日の
TTB
仕入・経費
取引日の
TTM
(仲値)
継続適用を条件に、取引日の
TTS
どの金融機関の相場か
原則は主たる取引金融機関。合理的なものを
継続して使用
していれば認められる(注1)
相場が無い日
同日前の
最も近い日
の為替相場による(注3(1))
⚠️ 例外が使えるのは不動産・事業・山林・雑所得を生ずべき「業務」に係る計算。条件は継続適用=有利なほうへ毎年変える使い方ではない
5
第2段階:認識する/しないの線引き
5 / 9
✅
認識しない側
:同じ外国通貨で預入・払出をする限り「外貨の保有状態に実質的な変化がない」——国税庁 質疑応答事例「外貨建預貯金の預入及び払出に係る為替差損益の取扱い」
⚠️
認識する側
:外貨で資産を購入すると「新たな経済的価値……を持った資産が外部から流入したことにより、それまでは
評価差額にすぎなかった
為替差損益に相当するものが所得税法36条《収入金額》の
収入すべき金額として実現
したものと考えられます」
💡 線引きは金額の大小ではなく「状態が変わったかどうか」。ただし円転そのものを扱った事例ではない=個別の判断は所轄の税務署または税理士へ
6
レートが無いと、後から復元できない
6 / 9
外貨の取得が複数回ある場合、国税庁の質疑応答事例は所得税法施行令118条1項の規定に
準じて
平均レートで計算する方法を示している(事例の数字)。
✍️
保有ドルの1ドル当たりのレート:〔10,000,000円+5,600,000円〕÷15万ドル=
104円
=
為替差益:(120円−104円)×12万ドル=
192万円
⚠️ この計算が成り立つのは「いつ・いくらのレートで・何ドル手に入れたか」が全部分かっているから。1つ欠けると平均が出せない
7
下振れしたときの逃げ道は、無い
7 / 9
国税庁 No.1500:「雑所得の金額の計算上生じた損失の金額は、
他の所得の金額と損益通算はできません。
」
為替差損益が雑所得に区分されるなら、円高で差損が出ても給与所得から差し引いて取り戻すことはできない。「増えたら課税、減ったら相殺」という対称にはならない。
📁
前々年分の業務に係る雑所得の収入が
300万円超
→現金預金取引等関係書類の保存/
1,000万円超
→収支内訳書等の添付(No.1500)
💡 基準になるのは前々年。今から伸ばすつもりなら、書類の保存は今年から習慣にしておくほうが早い
8
USDTで受け取っている人は、ここから先が違う
8 / 9
所得税法57条の3が言う外貨建取引は「
外国通貨
で支払が行われる」取引。暗号資産には別の整理がある。
🪙
国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)」:売却または使用により生ずる利益は、各種所得の基因となる行為に付随して生ずる場合を除き
原則として雑所得
に区分され確定申告が必要
📊
取得価額の計算書は
移動平均法用
と
総平均法用
。年間取引報告書を使う場合は総平均法用
⚠️ ステーブルコインは資金決済法上の位置づけで扱いが分かれ得る。「ドル連動だから実質ドル」で当てはめるとまるごとずれる
残すべきは感想ではなく、
2つの数字
1
報酬を「確定日・外貨額・通貨・受取先」の4列で一覧にする(1行1入金)
2
「換算に使ったレート」の列を足し、入金のたびに埋める
3
レートをどこから採るかを1行で決めて書き残す(求められているのは継続適用)
4
円転の記録は報酬の一覧とは別のシートに。USDT等は外貨と分けて管理する
※
本スライドは一般的な仕組みの整理であり税務相談ではありません。所得区分・換算方法・申告義務の有無などの個別の判断は、所轄の税務署または税理士へ。投資・トレードには元本を失うリスクが伴います
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