この記事でわかること
  • 本人確認で照合されるのが氏名・住居・生年月日の3点だという前提に立つと、否認の理由が「書類が古い」より先に「申込フォームの表記が書類と違う」側に寄る理由
  • 本人確認書類に印字された住所が今の住所と違うとき、補完書類まで求められることになるという犯収法上の扱いと、その書類に付いている6か月という条件
  • 郵送を挟む確認方法が「転送不要郵便物等」を前提にしている以上、引っ越した直後の申込はそこで止まりうるということ

この記事の要点:よくある質問

Q: 本人確認が通らないのは、書類が古いからですか?
A: 有効期限も理由になりますが、それとは別に「申込フォームに入れた表記が書類と違う」という理由があります。警察庁の資料で確認の対象とされているのは氏名・住居・生年月日の3点で、住所は書類に印字されたとおりの形で照合されます。丁目と番地をハイフンで詰めた、建物名を書かなかった、といったずれはここに入ります。
Q: 引っ越したばかりでも口座は開けますか?
A: 開けないとは限りませんが、手順は増えます。本人確認書類に記載された住居が現在のものでない場合、警察庁の資料は、他の本人確認書類か補完書類(納税証明書、社会保険料領収証書、公共料金領収証書など)で現在の住居を確認する必要があるとしています。さらに郵送を挟む方法では取引関係文書が「転送不要郵便物等」として送られるので、郵便局に転居届を出していても新住所には回りません。
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はじめにお読みください(一般的な情報提供です)

この記事は、国内の暗号資産取引所で口座を開くときの本人確認について、制度の一般則と実務の段取りを整理した情報提供・教育目的のコンテンツです。受け付けられる書類の種類、どの確認方法を用意しているか、審査にどれだけかかるかは事業者ごとに違います。この記事では特定の取引所名を挙げて日数を書きませんし、あなたの申込が通るかどうかの判定もしません。制度の根拠は警察庁と金融庁のページを都度示すので、自分の申込に当てはめる段階ではその事業者の公式サポートに確認してください

3日待って届いたのは、承認ではなかった

免許証の表と裏を撮って、案内に従って自分の顔を撮って、送信ボタンを押す。ここまでで10分もかかりません。あとは待つだけ、という気分になります。

3日後に来たメールの件名は「ご提出いただいた内容が確認できませんでした」でした。本文には、もう一度お手続きくださいとだけ書いてあって、どこがどう駄目だったのかは書かれていません。免許証は有効期限内で、写真もブレていない。心当たりがないまま、同じ手順をもう一度やることになります。

私の場合、ずれていたのは申込フォームの住所欄でした。免許証には「三丁目12番5号」と印字されていて、フォームには「3-12-5」と入れていた。ついでに建物名を省いて部屋番号だけ書いていました。郵便なら間違いなく届く書き方です。人間が2つ並べて見れば同じ住所だと分かります。それでも止まりました。

郵便が届く住所と、照合が通る住所は、同じとは限らない

細かすぎると思うかもしれません。ただこれは、事業者が神経質だからそうなっているのではなくて、確認する側が何を見なければいけないかが法令で決まっているからです。そこを知っていると、直す場所が最初から分かります。

見られているのは3つだけ。ただし「書いてあるとおりに」

暗号資産交換業者は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)の特定事業者として、口座開設のような取引の際に取引時確認を行います。警察庁が公開している犯罪収益移転防止法の概要(令和8年8月7日時点)は、その中身をこう定義しています。

警察庁「犯罪収益移転防止法の概要」より

「本人特定事項の確認」とは、顧客等又は代表者等の本人特定事項(確認の対象が自然人である場合は氏名、住居及び生年月日、法人である場合は名称及び本店又は主たる事務所の所在地)について、運転免許証等の公的証明書等により確認することをいいます。

個人なら氏名・住居・生年月日の3つです。この3つを、公的な書類の記載と突き合わせる。生年月日はカレンダーから選ぶので、まずずれません。氏名も、多くの人は書類どおりに書きます。自由入力の幅がいちばん広くて、書き方が何通りもあるのが住所です。

同じ資料には、住所についてもう一段はっきりした書き方があります。「旅券等のように住居等の記載が必須とされていないものを除き、本人確認書類であるためには住居等の記載がある必要があります」。つまり住所は、あってもなくてもいい情報ではなく、その書類が本人確認書類として成り立つかどうかに関わる項目として扱われています。

住所がずれるのは、だいたいこの4か所

否認された人の話を聞くと、出てくるのは似たようなパターンです。どれも「間違い」ではないところが厄介で、日常の書き方としてはむしろ自然なほうが多い。

書類に印字されている形フォームに入れがちな形
〇〇三丁目12番5号〇〇3-12-5(ハイフンで詰める)
△△ハイツ301301だけ/建物名を丸ごと省く
〇〇市大字△△字□□大字・字を落として市と地名だけ
番地までしか記載がない実際に住んでいる部屋番号を足す

4行目は逆方向のずれです。書類に部屋番号が入っていないのに、フォームには実際の住所として部屋番号まで書く。郵便の感覚では正しいのですが、書類と字面が合わなくなります。

もうひとつ、番号ではなく状態の問題があります。手元の書類のうち、どれが今の住所になっているかです。引っ越しのあとで住所変更を済ませた書類と、まだ古い住所のままの書類が混在していることがある。どれを撮って送ったかで結果が変わります。

ここで効いてくるのが、書類の住所が現住所と違うときの扱いです。同じ警察庁の資料には、こう書かれています。

住所が現在のものでないとき、増えるもの

本人確認書類に記載又は記録されている住居等が現在のものでないとき、又は住居等の記載がないときは、他の本人確認書類や補完書類(納税証明書、社会保険料領収証書、公共料金領収証書、官公庁発行書類等)の提示を受け、又はこれらの書類若しくはその写しの送付を受けて、現在の住居等を確認する必要があるとされています。

補完書類には条件が付いています。有効期間や有効期限のあるものは提示・送付を受ける日において有効なもの、それ以外は領収日付の押印か発行年月日の記載があって、その日付が提示・送付を受ける日の前6か月以内のものに限られます。なお、マイナンバーの通知カードは補完書類に含まれません。

ここを読むと、引っ越し直後の申込がなぜ重くなるのかが分かります。書類を1枚出せば終わる話が、書類を1枚と、6か月以内の日付が入った別の紙を用意する話に変わるからです。公共料金の領収証書を紙で受け取っていない人は、そこで一度止まります。

名前でずれるのは、旧姓・ミドルネーム・文字そのもの

住所ほどではありませんが、氏名も安全地帯ではありません。

旧姓を併記した本人確認書類を持っている人は、フォームにどちらを入れるかで迷います。ミドルネームがある人は、姓と名の2欄しかないフォームでミドルネームの置き場に困る。「髙」や「﨑」のような文字は、書類には印字されているのにフォームで入力できないことがあります。

この3つは、どれも事業者ごとに案内が違う領域です。どちらで入れるのが正解かをこの記事で決めることはできません。ただ、迷ったまま送信して否認され、理由の書かれていないメールを受け取って3日を失うより、送信前にその取引所のサポートに1行聞くほうが早い。「本人確認書類に旧姓が併記されている場合、氏名欄にはどちらを入力すればよいですか」と書けば済みます。

聞くのは、送信ボタンの前

否認されてから聞くと、質問に「なぜ落ちたのか」の推測が混ざって長くなります。送信前なら質問が1行で済むし、返事を待つあいだに書類の住所を見直せます。私はこの順番を逆にして、余計な往復を1回増やしました。

eKYCと郵送では、待っているものが違う

非対面での本人確認には、いくつか方法があります。警察庁の資料が挙げているもののうち、個人が口座を開くときに実際に案内されるのは、おおむね次の形です。

A
画像やICチップで完結させる方法:事業者が提供するソフトウェアで撮影した本人確認用画像情報(撮影された容貌と写真付き本人確認書類)の送信を受ける方法や、容貌の画像の送信と、写真付き本人確認書類に組み込まれたICチップ情報の送信を受ける方法。いわゆるeKYCと呼ばれているのはこのあたりです。
B
郵便を挟む方法:本人確認書類やその写しの送付を受けるとともに、その書類に記載されている顧客の住居宛に、取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として送付する方法。書類の写しではなくICチップ情報の送信を受けたうえで、記録されている住居宛に同じように送る方法もあります。

Aは送信が終われば、あとは事業者側の確認です。Bには郵便が動く時間が入ります。どちらが何日かかるかは審査体制も混雑具合も違うので事業者により異なりますし、同じ事業者でも時期で変わります。ここで書けるのは日数ではなく、Bには郵便の往復という、自分にも事業者にも縮められない区間があるということだけです。

そして「転送不要」は、言葉のとおりの意味です。郵便局に転居届を出していても、この扱いの郵便物は新しい住所に回りません。書類に印字された住所と、いま実際に郵便を受け取れる場所が違うと、Bの経路は成立しなくなります。引っ越しの直後に口座を開こうとして詰まるのは、たいていここです。

逆に言えば、選べる場合はどちらの方法を使うかを自分で決められるということでもあります。ICチップを読む方法に対応した書類が手元にあるなら、郵便を待たない経路を選べます。何が使えるかは事業者の案内で確認してください。

「送りたい日」から逆算していないと、相場だけが動く

ここまでは手続きの話です。運用の話に移すと、いちばん効くのは順番を逆にすることでした。

私は最初、口座を開いてから何をするか考えていました。うまくいきません。開設が終わるまで、できることが何もないからです。待っているあいだに価格は動くし、動くと気持ちも動く。開いたときには、最初に決めていたはずの金額でも入り方でもなくなっていました。

いまは、日付を後ろから並べています。

1 送りたい日/始めたい日を先に置く
2 その日に入金が反映されているために、いつ入金するか
3 その入金を出すために、口座がいつ使える状態になっていないといけないか
4 選ぶ確認方法(A か B か)を踏まえて、いつ申し込むか

3番と4番のあいだに、書類を用意する時間が入ります。住所が古かったら、書類を直すか補完書類を集めるぶんだけ、申込日はさらに前に動きます。

口座が開いたあとの段取りは、この記事の範囲ではありません。初めての送金をどう試すかは最初の1回は失っていい額で試すで、出金のほうで待たされる話は含み益はあるのに出金できないときで扱っています。取引を始めたあとの記録の残し方は年内にやっておく記録の話にあります。この記事は、その全部の手前にある「口座が使えるようになるまで」だけを見ています。

登録を受けた事業者かどうかは、申し込む前に見られる

本人確認の話とは別ですが、申込ボタンの手前で終わる確認がもうひとつあります。

金融庁の暗号資産の利用者のみなさまへには、「暗号資産交換業者は登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か確認してください。」と書かれています。同じページから暗号資産交換業者登録一覧(PDF)が公開されているので、社名を探すだけなら1分で済みます。

同じページには、暗号資産が法定通貨ではないこと、価格が変動することについての注意喚起も並んでいます。本人確認を通すことと、その事業者を使うかどうかは別の判断です。

口座を開ける前に、先に見ておけるもの

口座開設の待ち時間は、何も手を付けられない時間になりがちです。Kingfinのアフィリエイトは登録も利用も無料なので、その間に管理画面と素材だけ先に見ておくことはできます。報酬が発生するかどうか、またその金額は保証されません。紹介先のトレードには元本を失うリスクがあります。

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送信ボタンを押す前の6つ

ここまでの内容を、申込の直前に手を動かせる形にします。全部で5分ほどです。

1 使う書類を手元に置いて、住所を1行ずつ読む:丁目・番地・号の書き方、建物名の有無、部屋番号まで入っているかを目で確認する
2 フォームには、その字面をそのまま写す:ハイフンに詰め直さない。書類に無い部屋番号を足さない。書類に有る建物名を省かない
3 氏名も書類の表記に合わせる:旧姓の併記、ミドルネーム、入力できない文字で迷ったら、送信前にサポートへ1行で聞く
4 書類の住所が今の住所と違うなら、先に手を打つ:書類側を直すか、6か月以内の日付が入った補完書類を用意する(通知カードは補完書類に含まれない)
5 郵便を挟む方法を選ぶなら、その住所で受け取れるかを確認する:転送不要郵便物等は、転居届を出していても転送されない
6 送りたい日から逆算して、申込の日を決める:審査に何日かかるかは事業者により異なる。決められるのは、いつ申し込むかのほうだけ

否認のメールが来たとき、私は「この取引所は審査が厳しい」と思いました。厳しかったのは制度のほうで、直す場所は自分が打ち込んだ住所欄でした。分かってしまえば、次からは申込に10分もかかりません。

よくある質問(FAQ)

否認のメールに理由が書かれていません。まず何を疑えばいいですか?
理由を公表しない運用は珍しくないので、ここは推測になりますが、順番としては書類の有効期限や撮影の状態より先に、申込フォームに入れた表記を見直すほうが早いことが多いです。犯収法で確認の対象とされているのは、個人の場合は氏名・住居・生年月日の3点です。生年月日はまずずれないので、残るのは氏名と住所で、自由入力の幅が広いのは住所のほうです。丁目・番地の書き方、建物名の省略、書類に無い部屋番号の追加あたりを、書類と1行ずつ突き合わせてみてください。それでも分からなければ、その事業者のサポートに問い合わせるのがいちばん確実です。
引っ越したばかりで、手元の書類の住所が古いままです。どうなりますか?
警察庁の「犯罪収益移転防止法の概要」は、本人確認書類に記載されている住居等が現在のものでないとき、又は住居等の記載がないときは、他の本人確認書類や補完書類(納税証明書、社会保険料領収証書、公共料金領収証書、官公庁発行書類等)の提示を受け、又はこれらの書類やその写しの送付を受けて現在の住居等を確認する必要がある、としています。補完書類には条件があり、有効期間・有効期限のあるものはその日において有効なもの、それ以外は領収日付の押印か発行年月日の記載があってその日付が6か月以内のものに限られます。マイナンバーの通知カードは補完書類に含まれません。どの書類を受け付けるかは事業者ごとに違うので、実際に何を出せばいいかはその取引所の案内で確認してください。
eKYCと郵送では、どれくらい日数が変わりますか?
日数は事業者により異なるので、この記事では数字を書きません。審査の体制も申込の混み具合も違いますし、同じ事業者でも時期で変わります。書けるのは構造の違いだけです。画像やICチップ情報の送信で完結する方法は、送信が終われば残りは事業者側の確認です。一方、本人確認書類の写しの送付を受けたうえで、その書類に記載された住居宛に取引関係文書を書留郵便等により転送不要郵便物等として送る方法には、郵便が動く区間が入ります。この区間は、こちらが急いでも短くなりません。実際の目安は、申し込む取引所の案内やサポートで確認してください。
パスポートだけで本人確認はできますか?
警察庁の資料には、旅券等のように住居等の記載が必須とされていないものを除き、本人確認書類であるためには住居等の記載がある必要がある、と書かれています。裏返すと、旅券は住居等の記載が必須ではない書類として扱われているということです。そのため住所の確認については別の書類が必要になる場合があります。どの書類の組み合わせを受け付けるかは事業者が決めているので、旅券で申し込みたい場合は、その取引所が旅券を受け付けているか、あわせて何が必要かを事前に確認してください。

【免責事項】本記事はKingfin日本語版編集部による情報提供・教育目的のコンテンツであり、特定の暗号資産交換業者の口座開設を勧誘するものでも、法律上の助言を行うものでもありません。犯罪による収益の移転防止に関する法律に関する記載は、執筆時点で警察庁および金融庁の公表資料を確認したものですが、法令は改正され、公表内容も更新されます。受け付けられる本人確認書類の種類、用意されている確認方法、審査に要する期間はいずれも事業者ごとに異なり、同じ事業者でも時期によって変わります。個別のお手続きについては、必ずその事業者の公式サポートにご確認ください。また、Kingfinのアフィリエイトで紹介するOlympTradeはFX・バイナリーオプション関連のトレードサービスであり、日本国内で金融商品取引業の登録を受けた業者ではありません。トレードには元本を失うリスクが常に伴い、「必ず稼げる」「絶対に増える」といった保証はできません。アフィリエイトの成果・報酬額にも保証はなく、結果には個人差があります。投資は必ず余剰資金の範囲で、ご自身の判断と責任において行ってください。

Hiro Hiraki
執筆者
Hiro Hiraki
Kingfin JP 編集長。金融・FinTech分野の翻訳に15年以上携わるFXアフィリエイトの専門家。日英バイリンガル。